2015年9月7日月曜日

hiroxxxの怪談「先客」

「先客」

友人が体験した話です。

友人がマンションに帰宅中、エントランスに向って自転車を押して歩いてたら、前方に猫背のお婆ちゃんが歩いてるのが見えたそうです。

自転車もあるし、お婆ちゃんには先にエレベーターに乗ってもらおうと思い、郵便ボックスとか適当に覗いてたら、お婆ちゃんがエレベーターに乗り込むのが見えたそうです。

ドアが完全に閉まった後、友人も乗る為にエレベーターの所にきました。

でもエレベーターの表示ランプが一階を差したまま上がって行かない。

友人は
「お婆ちゃん、ボタンを押し忘れたのかな?」
と思い、エレベーターを開けてみたら、中には誰も居なかったそうです。

幽霊!?と、怖くなった友人でしたが、自転車もある事だし、エレベーター乗らないと帰れないので勇気だして乗ったそうです。

その間、天井に気配を感じたそうです。
見上げたら絶対何か居ると思ったからうつむいてたそうです。

ドアが開き、逃げる様に飛び出て、つい振り向いて天井見てしまったら、天井から生えた無数の白い手だけがぶら下がっていたそうです。

 

2015年9月5日土曜日

hiroxxxの怪談「どしゃっ」

「どしゃっ」

学生の頃にアルバイトをしていたお持ち帰り弁当の専門店に以前顔を出した時に聞いた話です。

僕がそこで働いていたのは十数年前なので、今では当然若い学生のアルバイトさん達がいて、僕のことを知るのはオーナーさんくらいです。 
オーナーさんとは親しくさせてもらってたので近況報告にでもと立ち寄ったのですが、そこでこんな話を聞かされました。 

ここでのアルバイト時代、色々と任されていた僕は、お店を22時で閉めた後に、その日の売上げを道路を挟んだ正面に建つオーナーさんが住むマンションに持っていくのが日課でした。 

そのマンションは築十数年は経ってる感じの古いマンションで、お昼に見ると元々は白い色のマンションなんだなというのがわかるのですが、至る所が古くなっており、僕が売上を持っていく頃には、辺りに照明が少ないせいもあってか、黒ずんだ建物にしか見えませんでした。 

マンションのロビーに入ると、これがまた見るからに古い感じの、寂れたエレベーターがありまして、アルミ製のドアが何かに擦れながら開くのが定番でした。 

それから四階まで上がり、一番角部屋のオーナーの部屋の新聞入れに、袋に入れた売上げをどしゃっと落として帰る、とまあ流れはこんな感じです。 

売上を持っていく頃は23時半をまわる事もあるので、直接オーナーに渡すのではなく、新聞入れに入れる、という今考えるとずさんだなぁと思えるやり方なのですが、オーナーに当時の話をしてると、「今でもこのやり方だよ」と言うではありませんか。 

僕は「変わってないんだなぁ」と思いつつも、当時の懐かしい記憶を辿っていると、オーナーが「そういえばさ、昔マンションで見た女の人覚えてる?」と言うんです。 
そんな事言ったかな?と余り思い出せずにいると、オーナーが学生の男の子を連れてきました。 
「この間の話をしてよ!」と男の子に言うと、オドオドしながらも男の子が話し始めたのです。

現在、この彼が昔僕がやっていた手順と同じ流れで、売上をマンションに持っていってるそうなのですが、先日バイトが終わりマンションに行くと、普段は点いてるロビーの明かりが点いてない。 
灯りを点けるスイッチもどこにあるか知らないので、エレベーターの階数を示す灯りだけを頼りにボタンを押したそうです。 
しばらくするとエレベーターが降りてきたそうなのですが、これがまた灯りが点いてない。 
エレベーターの中、真っ暗です。ドアが開くと同時にズズズーっと何かが擦れる音がしたのでびっくりしたが、よく考えたら毎回鳴ってる音だという事に気づいたそうです。 

さすがに真っ暗なエレベーターには乗りたくないと思い、ふと階段のほうだけ薄っすらと灯りがあることに気づき、この日はじめて階段を使ったそうです。 

階段も決して明るいとはいえず、とっとと済ませようと登り始めた時に、自分の前を誰かが上がっていくのが見えたそうです。 

赤いスカートらしきものが階段の角をサッと過ぎたそうです。 
彼は女性が自分の前を上がってると思い、怖がらせてはいけないなと気遣い上がる速度を少し遅くしたそうです。 
で、ゆっくりと二階まで上がる、ふと前を見るとまたサッと赤いスカートが角に消えていく。 
「あれ?この人も上がるの遅いなー」と思いましたが、気にもせず、三階に着く。 
そして四階に向かって上がろうと上を向くと、今度は女性の半身が見えたそうです。 
全身赤い色の服でロングスカート、ロングヘアーの女性の姿です。 
でも顔は見えません。 
なんだやっぱり女性だと思い、あと一階で着くなと上がろうとした時に「あれ?」 
と何かが変だなと気づいた。 

足音がまったくしない。 

これだけ近い距離、しかも音が響く階段。 
先に女性が上がっているなら足音がしないのはおかしいと思ったそうです。 

なんだか不安な気持ちになりましたが、オーナーの部屋へは後一階登れば着く。 

上を覗き込みながらゆっくりと上がり、ついに四階にたどり着きました。 
四階につくと、女性の姿は見当たらず、気にしすぎたのかなと?思ったそうですが、その階の照明も消えていて、辺り一面真っ暗です。 
外のわずかな灯りを頼りに、角のオーナーの部屋まで手探りで歩きます。 

部屋の前までつくと、売上袋をドアの新聞入れにいれました。 

どしゃ。 

そして振り返り、通路を戻ろうとした時に、彼の目線の先、エレベーターと階段があるであろう場所に何かが見えます。 

足でした。しかも裸足です。 
誰かの足元だけがわずかな灯りで照らされた様に見えました、 
足がこちらに歩いてきます。灯りのあった場所から離れた足はスッと暗闇の中に消えました。 

彼は後ずさりします、角部屋なので行き止まり、どこにも逃げ場はありません。 

ふと、またわずかな灯りで裸足の足が歩いてくるのが見えます。 
こちらにゆっくり近づいてきます。 
その時赤いスカートが見えました。 

「さっきの女だ...」 

身の危険を感じた彼は怖くなって、前を見れなくなりました。 
視線を通路外に逸らした時、何かが目の前を落下しました。 
一瞬でしたが逆さまになって落ちていく女と目が合いました。 

彼は、その後無我夢中でオーナーの部屋をノックしていたそうで、出てきたオーナーに外まで送り届けてもらったそうですが、「あれは幽霊だった」と興奮した口調で話していました。 

そこで聞き入ってたオーナーが私に言います。 
「思い出した?昔見たって言ってたの」 

ああ、そういえば当時僕が売上袋を持っていったある夜。 
エレベーターに乗りこむと、遅れて赤いジャケットにロングスカートの女の人が乗り込んできた事がありました。 

しかしその女性は私がエレベーターに乗っているのに気づくと「あっ...」と言って降りたんです。 
そして女性は階段のほうに歩いて行きました。 

そしてオーナーの部屋まで来たときになって売上を持ってくる事を忘れた事に気づき、急いで取りに戻り、またマンションにやってきました。 

そして、売上袋を入れようとした時にかすかに香水の匂いが後ろからしたんです。 
どしゃと売上を入れた直前の事でした。 


翌日の朝、あのマンションの開放されたままの屋上から女性の飛び降り自殺があったとオーナーから聞きました。 


きっとあの人ですよね? 

hiroxxxの怪談「海月」

「海月」

夏になるといつも思い出す話。 

先日地元に帰ったら、子供の頃よく遊んでた浜辺が埋め立て工事されてほとんど無くなっちゃっててですね。 
なんだか悲しいっていうか、時が経つのを感じちゃいまして。 
今でもあれ何だったんだろう?って話なんですが。

これは僕がまだ小さい頃の話なんです。 
小学校低学年だった頃かな。 

僕の住んでいた町は海に面してまして、漁業が盛んな町だったんですよ。 
まだ陽も昇らない早い時間から、近所の漁師さん達は船を出して、せっせと魚を捕りに出掛けていましたね。 

そんな浜っ子育ちの僕達ですから、夏休みにもなると、もっぱら海で遊んでたんですよ。 

その日は、学校の友達と浜辺で遊んでて、ふらっと現れた上級生達も合流しちゃって、いつの間にか一緒になって遊ぶ様になっちゃったんです。 

魚を積む為に置いてある発泡スチロールを、こっそり盗んで海に浮かべて、それに乗り込み、バランスを崩してすぐ転覆したりして遊んでたんですね。 

そうこうしてる内に、物足りなくなったのか上級生が「俺の家のゴムボートを出すからそれに乗ろう」と言いだしたんです。 

当時、僕の周りにゴムボート持ってる人なんか居なくてですね、ちゃんと海に浮かぶゴムボートに乗れると考えただけで、胸が高鳴っちゃって。 

何分か経って、先輩がしわくちゃに畳まれたゴムボートと、何と言うんですかね...足で踏んで空気を入れるやつ?を持ってきたんですよね。 

それで空気を入れて、いざ海に浮かべてみました。 

その場に集まっていた4~5人で協議した結果、このゴムボートに5人乗るのは厳しいから4人で行こうと言う事になりましてね。 
そこで「じゃあどこ行く?」という話になり、地元の浜辺からそう遠くないところに浮かぶ、無人島に行くことになったんです。 

無人島と言っても小さな島でして、潮が引いた時なんかは陸地と繋がったりもする、そう遠くはない場所に浮かぶ島でした。 
僕達の間では絵本に出てくる鬼が島の形によく似ていたことから、その島を鬼が島と呼んでいました。 

僕はいつも鬼が島にある赤い鳥居に興味津々だったんですよ。 
あそこは一体何だろう?って感じでね。 
普段暮らす町に、ぽつんと浮かぶ行きたくてもなかなか行けないミステリースポットだったんですね。 
でも今日なら行ける、そう考えるとわくわくしました。 

するとゴムボートに乗り込んでいた内の一人が、「鬼が島に行くなら僕いかない」とボートを降りちゃった。 
どうしたの?って聞くと、その子、鬼が島が正面に見える場所に住んでるんだけど、夜に鬼が島を眺めていると月明かりに照らされた海面に、たくさんのクラゲが浮くんですって。 
あれに刺されたらたまったもんじゃないと言います。 
それにあの島からは、深夜に動物の鳴き声が聞えてくると言うんです。 
どんな声かと聞くと「ひゅっ、ひゅっ、」と鳴くんだそうです。 

それはきっと鳥だろう?と上級生が言い出し、結局行かないと言い出した一人を浜辺に見張りとして残し、残りの4人で出発する事になったんです。 

この島は本来、誰かの所有する島で立ち入り禁止なのでしょうが、小学生の頃の私達はそんな事お構いなしに、ゴムボートを漕ぎ出しました。 

出発したのは夕方でしたが、まだ昼間みたいに明るかったし、海岸には犬の散歩をしてる人なんかも確認できたんで恐怖心とかはなかったです。 

オールで漕いではいるんですが、進んでいるのかどうなのかいまいちわかりません。 
「これじゃ鬼が島に着かない」と先輩が言い出し、僕ともうひとりがゴムボートから降りて、泳いでボートを後ろから押す形になったんです。 

徐々にでしたが、確実に鬼が島に近づいているのがわかりました。 
と、その時、僕の両足が何かに絡まり、ぐうーっと海中に引きずりこまれました。 

突然海面から消えた僕をとっさの行動で助けてくれたのは、上級生達でした。 
両足に絡まっていたのは大量の海藻でした。 
それがなんか大量の髪の毛に見えちゃってですね、怖くなっちゃったんです。 
そんな気分だから、海藻を解いた後の両足に、何か手で強く握られた様な跡が残ってる様に見えちゃって。 

ボートに乗せてくれた上級生もきょろきょろと僕の足に付いた跡を無言でみるんですよ。 

そうこうしてると、やっと鬼が島に着いたんです。 

小さいとばかり思っていた島ですが、上陸してみると大きさもそこそこあり、僕達は島をぐるっと一周してみることにしました。 
島の入口らしき浜辺に例の赤い鳥居がありました。近くでみるとかなり傷んでいます。 
島の頂上付近にも木々の間から赤い鳥居が見え隠れする事に気が付きました。 
頂上に行ってみようということになり、一周した時に、ここからしか登れないねと発見した鳥居から続く道とも言えない様な道を登ることにしました。 
ほとんど獣道のような感じで、不規則に並ぶ石段を追いながら、ごつごつした斜面を登ります。 

頂上に着くと、そこにあったのは小さな神社?の様な建物でした。 
それが神社だったのかどうかはわからないのですが、その建物の入口にも鳥居が立っていたので、これは神社だろうという事にしました。 

頂上から僕達の住む町を見渡せたら良かったのですが、頂上自体が周辺の木々に囲まれていて影になってます。 
これはどおりで頂上に神社があることを誰も知らない訳です。 

そうこう話していると、遠くから何かキィー...キィー...と聞えてきたんです。 

その音は、だんだんと大きくなってきます。 

キィー.. キィー..キィー.. 


車椅子の音だ。 
この音は車椅子を押してる音だと思ったんです。 

その音が徐々にこちらに近づいてくるんですよ。 

「見つかると怒られる!」と思った僕達は、即座に神社の階段下のスペースに隠れました。 

キィー..キィー..キィー.. 

その音はだんだん近づいてきますが、姿は一向に見えてきません。 
それでも僕らは隠れ続けました。 

他にもこの島に人がいたのかな? 
そう思いました。 


音は、だんだんと近くなり、 

今度は僕達の真上から聞えてきました。 
ごろごろごろと神社の渡り廊下のような所を車椅子がゆっくりと、まるで僕達を探しているかのように動いてるんですよ。 

とにかく息を潜めて待ちました。 
今にも駆け出して逃げ出したい気持ちを抑えながら。 

キキィー..(ひゅっ) 

!? 

なんだ今の音は? 

突然何かの泣き声がこだましたんです。 

その場に隠れたみんなで顔を見合わせました。 
その音は一度きりでしたが、浜辺に置いてきた友人の言葉を思い浮かべました。 

車椅子らしき音は諦めたのか徐々に遠ざかり、僕達はタイミングを見計らって階段下から抜け出し、一気に頂上から浜辺へ駆け下りました。 

しかし、駆け下りていると同時に、一体この獣道をどうやって車椅子が上がってこれるのだろうか?と不思議でなりませんでした。 
他に道があったのだろうか? 


島を駆け下りると、上級生が先程の音の正体を突き止めようと言いだしました。 
僕は乗り気じゃなかったのですが、上級生達は盛り上がっていて、結局その場の全員で島をまた一周する事になりました。 

しかし、どこを探しても音の出処らしきものは見つかりません。それどころか、やはり島を登っていける様な道がないのです。 

これは不思議だなーと思っていると、上級生が何かを見つけました。 

海岸の砂浜から半分尖った角が突き出てました。 
それはどうやら箱の様でした。 
木箱が砂浜に埋もれているのです。 

それをみんなで協力して掘り出しました。 
海水で洗うと、木箱の全体が見えてきました。 
元々赤い色だったのがわかる淡いピンクの木箱でした。 
周りには和風な柄が施されていて、振ると中からカラカラカラッと音がします。 
小さい何かが入ってる様ですが、箱自体に開封口がなく開きません。 

これどうやってあけるんだ? 
と試行錯誤しますが、どうしようもありませんでした。 

太陽も沈んできた事だし、とりあえず持ち帰って叩き付けて開けようという事になり、向こう岸に戻る事になりました。 

上級生達がゴムボートを海に浮かべ、みんなで乗り込みます。 

そして島を出て向こう岸へと向かう途中、今度はボートを押していた上級生が「わっ!」と言うんです。 

どうしたの?と聞くと、足を誰かに掴まれたと。 
ああ、それはさっきみたいな海藻だよと言うと、上級生は水中メガネを付けたまま海を覗き込みました。 
次の瞬間「わあーーー!」と喚きながら、はやくはやく!とボートを急がせます。 

ただ事じゃないと思った僕達は、とにかくボートを急いで漕ぎました。 

その間も上級生は喚きながらこんな言うんです。 
「下から変なのがどんどんくる!追いかけてくる!」って。 

そんな事言われたらこっちもパニックになりますよ。 
足を一生懸命ばたつかせて対岸を目指します。 

すると (ひゅッ!) と音がする。 

ボート上のひとりがキョロキョロしながらオールを動かす腕を止めてます。 

音がする方に目をやると辺り一面にぷかぷかと何かが浮いている事に気づいたんですね。 

それはクラゲでした。 
大量のクラゲに囲まれてるんですよ、ボートが。 

そのクラゲが、ひゅっ!と鳴くんです。 
一匹が鳴くと辺りにいるクラゲも一斉にひゅっ!ひゅっ!ひゅひゅひゅ! 
と鳴き出して。 

クラゲの鳴き声なんて聞いた事ないですし、鳴くものなのかも知らないですけど、そう聞こえるんですね。 

なんか怒ってるなって感じたんですよ。 
刺されるのは怖いですけど、みんな必死で漕ぎ出した。 
半狂乱っていうんですかね。凄い形相でしたよ。 

クラゲをかき分けて、やっと浜辺にたどり着いたんですがね、みんなおかしな事を言うんですよ。 

僕が「クラゲすごかったね!」て言うと、クラゲ?みたいな顔をする。 
さっきクラゲにボート囲まれたじゃん!て言うと、こう言うんですよ。 
「お前、あれがクラゲに見えたのか」って。 

どうやら、僕以外の全員には、それは違うものに見えてたそうで、みんなが口を揃えてこう言うんですよ。 

波と波の間、海面にゆらゆら浮かぶ乱れた髪の女が見え隠れし、それは、顔半分だけ海面に突き出し、ひゅッ、ひゅッと鳴きながら迫ってきたそうです。 

半狂乱になりながら、そう言い切るみんなを見てると、信じざる得なくなってきまして。 

その時、島で拾った木箱が無い事に気づいたんです。 
さっきので、海に落としちゃったのかなって海見たんです。 

ありましたよ、海面にぷかぷか浮かぶ木箱が。 
でもね、潮の流れお構いなしに鬼が島のほうに戻っていくんですよ。 
あれはまるで島に引っ張られてるみたいでしたね。 

木箱が離れてどんどんちいさくなっていくんです。 
もう見えなくなるな~って時に、木箱が波でチャポンッて浮いたんですよ。 
するとガシッと白い手が木箱掴んで、海面に消えたんです。 

あれなんだったんだろう、って今でも思い出しますね。